文化庁新進芸術家海外研修制度50周年記念展(名古屋松坂屋美術館)に行って来ました。この展覧会では日本の美術界を担う75名の新作を見ることが出来ました。
実はその中の愛知県出身、東京在住の田村能理子さん(1944生まれ)の絵がお目当てでした。
初めて彼女の絵を拝見したのは名古屋JRセントラルタワーズ・ビジネス棟でした。
★壁画「そよ風のロンド」(1999年)
爽やかで春らしいロマンティックなパステル調の作品でした。
彼女は壁画家としても大活躍されています。
壁画歴 http://tamuranoriko.yukigesho.com/hekigareki.html
この時から同じ愛知県と言うことや女性らしい優しい色使いで気になる画家となりました。
田村さんは愛知県の高校(美術科)から武蔵野美術大学に進まれ、1986年、42歳の時文化庁新進芸術家在外研修員として北京中央美術学院に留学されました。
その後、何度も彼女の美術展に行くようになり、彼女の使う赤が「田村の赤」として世間に認知されるほど有名な「赤」なのを知りました。
彼女はインドを旅したことをきっかけに、アジアでたくましく生きる女性の姿を描き始められたそうです。
★「イサーンの赫い風」1995年(51歳)
このデッサンはタイで出会った出稼ぎ労働者の女性。
厳しい気候風土を生き抜く強い眼差しに惹かれて描いたと仰っています
★「風河燦燦 三三自在」(2008年)
灼熱のインドを表現するのに「赤」をふんだんに使った神秘的な襖絵でした。とても惹かれる赤です。しかもその赤が年を追うごとに深みを増しているのに気が付きました。
★今回出展された作品は「風に還る」(2017年)です。
「30年前初めて足をのばしたシルクロードの街で出会った老人たち。土ぼこりの中、したたかに生き抜き、樹木が朽ち果て風に還っていく巡礼のような姿に打たれ、夢中でスケッチしました。」と仰っています。
田村能理子オフィシャルホームページ
http://tamuranoriko.yukigesho.com/index.html
この展覧会でもう一枚強く惹かれる絵に出会いました。
★西田俊英《月と孔雀》2017年
白孔雀とブルーの孔雀、ふわふわの羽毛、幻想的な夜の風景。
西田さん(1953年生まれ)は三重県伊勢市出身です。1993年インドに派遣されました。
寺院の遺跡あとがある広大な公園には白牛、ロバ、ラクダなど自由に歩き回っていたそうです。動物も人間も赤茶けた灼熱の大地の上で懸命に生きていた。
夜になると一転して月光に照らされた幻想の世界。孔雀は暑さから解放され美しい羽根を揺らしながら歩く夢のような世界だったそうです。