地方仏巡りその⑥ 愛知県愛西市(あいさいし) 西照寺の仏像

西照寺(さいしょうじ)にある薬師如来像が1千年前の平安時代に作られたことがわかり市の文化財に指定されました。

それを記念して1月17日、18日に仏像3体が公開されました。
実は文化財に指定されたのは昨年、令和2年3月でしたが、コロナウイルスのせいで公開が遅れ、初めての御開帳となりました。

【公開された愛西市指定文化財
薬師如来立像
聖観音菩薩立像(御本尊)
地蔵菩薩坐像

★木造薬師如来立像 平安時代前期(10世紀頃)
ヒノキで作られたとみられ、高さは88センチ。
江戸時代の古文書によるともとは遍照院という寺の仏像でした。
言い伝えによれば、戦国時代の1570~74年、織田信長長島一向一揆による戦火で村ごと焼き打ちに遭い焼失。その時仏像は田んぼに埋めて戦火から守ったそうです。
珍しいのは左手が施無畏印(せむいいん:怖がらなくてもよいという印)、右手に薬壺を載せていることです。通常の薬師如来像とは逆手になっている全国でも大変珍しいお姿のお薬師さまです。

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★木造聖観世音菩薩立像 鎌倉時代(御本尊)
現在のあま市甚目寺町にあった西網之坊(にしあみのぼう)という寺院の本尊でした。
1面2臂の、左手に1本の蓮華のつぼみを持つ美しい御姿の聖観音菩薩です。
衣には麻の葉、唐草などの切金模様がほどこされています。

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地蔵菩薩坐像
年代不明(室町~江戸時代?) 木造
1915(大正4)年に名古屋市西区の医王寺より薬師堂に移された仏像です。
地蔵菩薩像でありながら定印(阿弥陀様の来迎印)を結んでいます。
このお地蔵さまは夢のお告げの通りに転々と移ってきた物語が付与状に残っています。

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