古代メキシコの「赤の女王」(7世紀後半)に一目会いたくて~~~行ってきました。
美しい赤!ここは夢か幻か~~神秘の世界にしばし浸ってきました。
そしてランチはメキシコ料理とデザート(テオプロマ・カカオ「神様の食べ物」)。
今日1日は私のメキシコデーとなりました。
全作品写真フリーでした。やったー!
1994年に発見されたマヤ文明・王妃の墓。そこは真っ赤な辰砂(水銀朱)におおわれた部屋。
そして真っ赤な棺の中に眠っていたのは王妃。
パカル王(620-683年ころ)の妃かも?(可能性大とか)
★No90《パカル王とみられる男性頭像》(複製)原品:マヤ文明620~683年頃
パカル王墓内で見つかる。頭頂部で髪を結わえ、前に垂らした形は、トウモロコシ神の姿をまねたと考えられる。
王妃の装飾品:作品NO99~109
★99《赤の女王のマスク》クジャク石、翡翠などで作られている。緑色で再生すると信じられていた。王朝美術の傑作
★100《赤の女王の頭飾り》マヤ神話の雨神・チャフクをかたどっている。ヒスイ、貝、石灰岩で。
★101《赤の女王の冠》冠と首飾りは特別な儀式で使うもの。ヒスイ輝岩石の平玉。頭蓋骨の周囲に置かれていたことから二重の髪飾りと考えられている。
★102《赤の女王の首飾り》管状、玉状のビーズ。死後に役立つようにと埋められたのかも。
★103《赤の女王の胸飾り》マヤ王族の女性が身に着けたケープ。170個以上のヒスイ輝岩石で作られている。
★104《赤の女王のベルト飾り》ヒスイ輝岩石ではなく斧形の石灰岩作り。マヤ王族の衣装の一部。
★105《赤の女王の腕飾り》小さな緑岩石のビーズ。両手首にはそれぞれ12連。
★106《赤の女王の足首飾り》辰砂の痕跡がある球状のビーズ。
★107《小マスク》緑玉髄、黒曜石片、貝片で作られた小さなマスク。104番の板状の石灰岩とともにベルトを飾っていたと考えられる。
★108《貝》貝殻は水という原初の世界を表す。
★109《小像》小さい彫刻は赤の女王の生前の姿。
さて、メキシコには35もの世界遺産があります。
この展覧会は紀元前15世紀から後16世紀のスペイン侵攻まで、3千年以上にわたって中米メキシコの地で栄えたテオティワカン文明、マヤ文面、アステカ文明の3つの地域の文明を紹介しています。
火山の噴火や地震、干ばつなどの厳しい自然環境の中で、普遍的な神と自然への祈り、そして多様な環境から生み出された独自の世界観と造形美を通して、その奥深い魅力を今に伝えています。(チラシより抜粋)
まずは古代メキシコの基礎知識を頭の片隅に~!
・紀元前1500年ころから食料はトウモロコシや野生の動植物だったが、時代が進むにつれ正確な暦による栽培、そして王権確率、儀礼、いけにえ文明にと発展しました。
・メキシコ先住民の世界観は、太陽が西に沈んだ後(死んだあと)夜明けとともに東から再生すると信じられていた。
・古代メキシコでは黄金は大変珍しい。神の排泄物と思っていた。黄金は神への捧げもの。
・人身供儀(いけにえ)の習慣は「万物は神々の犠牲により存続しているから、自らも他者のために犠牲を払うべき」と言う考え。また国家の覇権の誇示でもあった。
時代に沿って興味深かったものを少しご紹介したいと思います。
1:テオティワカン文明は紀元前100年から紀元後550年まで
神々の都
テオティワカンはナワトル語で「神々の座所」と言う意味
メキシコの中央高原(海抜2300m)にある都市遺跡
5世紀から9世紀に隆盛。
テオティワカンの三大ピラミッド
・太陽のピラミッドは火、戦い、天空の象徴
・月のピラミッドは水、豊穣、大地の象徴
・羽毛の蛇ピラミッドは金星の象徴。
「太陽のピラミッド」からの出土品
★NO23《死のディスク石彫》(300~550年)
メキシコ先住民の世界観では太陽は沈んだ(死んだ)のち、夜明けとともに東から再生すると信じられていました。この作品は地平線に沈んだ夜の太陽を表わすと考えられています。復元すると直径1.5mにもなる大型の石彫です。
★NO24《火の老神石彫》(450~550年)
火を焚くための石像。頭に火鉢。火や太陽に関する儀式のためのものと考えられる。
背景の写真が素敵!古代メキシコへタイムスリップしたみたい!!!
「月のピラミッド」からの出土品
★NO27《首飾り》(200~250年)
ここで37人の生贄の骨が見つかった~。豪華な副葬品を身に着けていた。
★NO28《モザイク立像》200-250年
12人の生贄の骨と一緒に発見された。
胴体はヒスイ輝岩石の小片、口と目は貝殻、黄鉄鉱。
西を向いて立った状態で発見されたそう。 胸部などのラインから、女性と考えられている。
「羽毛の蛇ピラミッド」からの出土品
巨大な石彫で飾られた羽毛の蛇ピラミッドは、全体が王の権威の象徴。
メソアメリカで最初の大モニュメント。(メソアメリカとはメキシコ中央部から中央アメリカにかけて興った古代文明の総称)
ちなみに羽毛の生えた蛇はこの世に存在しません。神話から生まれたのかも?
★NO41《羽毛の蛇神、シパクトリ神の頭飾り》(200年ー250年)は王権の象徴。
シパクトリ神は時(暦)の始まりを表すワニの姿をした神。
★NO46《嵐の神の土器》(150年-250年)テオティワカンで最も重要な神の一つ。農業に欠かせない雨をつかさどる嵐の神。
★NO44《トランペット》(150-250年)巻貝の先端を切り取って吹き口にした楽器
★NO50《香炉》(350~550年)香を焚く胴部と煙突、蓋からできている。
矢、盾などのモティーフから戦士の魂を鎮める儀式に使われたと考えられる。
お香はコーパルという木の樹脂が良く使われたらしい。
★NO54《鳥形土器》(250~550年)
まんまるお目目とたっぷりとした胴体が可愛らしい。
多くの貝が貼り付けられた土器。
メキシコ湾岸地域との交易で貝などを手に入れていた商人の墓からの出土品。
2:マヤ文明紀元前1200年頃から紀元後1697年まで
後1世紀には王朝が成立
都市間の交易、交流、戦争を通じて大きなネットワーク社会となる。
公共建築(ピラミッド)、集団祭祀、精密な暦を持つ力強い世界観
球技が儀式として行われ、他国との伝統、伝達の役割を果たした。
★NO85《猿の神とカカオの土器蓋》(600年~950年)
猿の神を表し、首には猿の好物のカカオの実の飾り。
カカオは飲料のほか通貨などに使われる重要な交易品。
★NO87球技《トニナ石彫171》(727年ころ)
球技の場面を描いた石彫。中央のゴムボールの上にマヤ文字で西暦727年に当たる年が書かれている。右がカラムルの王、左がトニナの王。両国の外交関係を象徴。
3:アステカ文明1325年から1521年まで
14世紀~16世紀にメキシコ中央部に築かれた文明。湖上都市
前時代の伝統を受け継ぎながら、他の地域との儀礼や交易、戦争などが行われた。
★NO123《鷲の戦士像》(1469~86年)
「鷲の家」で見つかった等身大とみられる戦士の像。
王直属の「鷲の軍団」を構成した高位の戦士、または戦場で英雄的な死を遂げ鳥に変身した戦士の魂を表している。
頭には鷲の髪飾り、羽毛や鍵爪の形の衣装を身に着けている。
★NO127《トラロク神の壺》(1440~69年)
水を貯えるツボ。
嵐の神・トラロク神の特徴は丸い目、牙。
雨の神であるトラロクと太陽神・ウィツィロポチトリは重要な神で、多くの祈りや供え物、生贄を捧げられ恵みの雨や豊穣を願った。
金のアクセサリー
金製品は珍しく貴重品。神への捧げものに使われた。
★NO136 豊穣を願った巻貝形のペンダント(D)
★NO139 生命力の象徴である人の心臓をかたどったペンダント(A)
見終わってとても感心したのは飾り方・レイアウトの素晴らしさでした。
部屋ごとに壁いっぱいの大きさのメキシコ古代遺跡の写真。
作品を眺めると同時にその景色が目に入り、まるでメキシコ古代に佇んでいるような気分になるのです。
歴史にご興味がありましたらお勧めの展覧会です~~~。