2023年6月「ルーヴル美術館展 愛を描く」-ルーヴルには愛がある―京都市・京セラ美術館9月24日まで~♪

今回の展覧会のテーマは「愛」。

さて、愛と言ってもどんな「愛」?

思いつく「愛」は、恋愛、性愛、家族愛、神への愛(信仰心)などなどたくさんあります。

この展覧会では愛をどのように表現するのか・・・

それぞれの作品に物語が込められていますので、暗喩や神話をうっかり見落とすと意味が分からなくなる!だから西洋美術は面倒くさい!!!(笑)

故に・・・

ルーヴル美術館から届いた73点の美しい絵画の中からほんの少しだけお話したいと思います。

 

プロローグから

「神の愛」

★フランソワ・ブーシェ《アモルの標的》(1758)ロココ時代を代表する画家

今回の目玉作品のうちの一枚です。チラシを飾っています。

アモルは愛の神です。別名はギリシア神話では「エロス」、ローマ神話では「キューピッド」と呼ばれています。(ややこしい!)

古代神話によれば愛の女神ヴィーナスの息子・アモル(キューピッド)が放った矢が命中した時が「愛が誕生した瞬間」ですって。(なんてロマンティックなんでしょう!)

 

・この絵の上のほうのアモル(キューピッド)は高潔な愛で結ばれた恋人たちに授ける月桂冠を持っています。

・ハートの的を外れてしまうこともあります。ということは命中するまで何度もチャレンジ出来るということですね。真実の愛が見つかるまで~~~!

・つがいの鳩はパートナーを変えないということの象徴。

・下のほうのアモルは真実の愛が決まった時には、もはやいらなくなった弓矢を燃やしています。

・1758年に描かれたこの絵は「神々の愛」をテーマにしたもので、恋人たちの愛の誕生を描いています。とても大きくて美しい絵でした。

第1章「愛の神のもとに──古代神話における欲望を描く」から

「一方的な愛」

★セバスティアーノ・コンカ《オレイチュイアを掠奪するボレアス》1715年―1730年ころ。18世紀イタリアの画家

・左側が北風の神 右が人間のアテネのオレイチュイア王女

・嫌がるアテネのオレイチュイア王女を力ずくで連れ去ろうとする北風の神・ボレアス。古代神話では神々は気に入った女性を誘拐するエピソードは定番のテーマだそうです。

ルネサンス以降の神話画では男性の欲望が数多く描かれています。

第2章「キリスト教の神のもとに」から

「親子愛」

★サッソフェラート(本名 ジョヴァンニ・バッティスタ・サルヴィ)

《眠る幼子イエス》 1640-85年頃

・宗教画では神話画などとはまた違う愛が表現されています。

・それはまさに無償の愛ですよね。神が人間にそそぐ愛、人間が神に寄せる愛(信仰心)は聖家族,キリストの磔刑、聖人の殉教などに描かれています。

聖母マリアの幼子イエスを見つめるまなざしがまさに無償の愛でしょう。

・我が子がいずれ人類の罪をあがなうために十字架にかけられる運命を予感出来、憂いを感じさせます。

・キリストの受難はルネサンス以降度々描かれるようになりました。

 

第3章「人間のもとに──誘惑の時代」から

「官能的な愛」

★ジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》(1777-78頃)

・この展覧会の超目玉作品。18世紀フランス絵画の至宝とされ、26年ぶりの来日。

・ドアーにかんぬきをかけようとする男性。

・女性は嫌がっているのか、身をゆだね陶酔しているのか?画家・フラゴナールの特徴は「あいまいさ」とか。

・いくつか暗喩(メタファー)があります。

かんぬきは(男性性器の暗示)

壺とバラの花は(女性性器・処女喪失の暗示)

テーブルの上のリンゴは、アダムとエバの原罪。行く末を警告している?

乱れたベッドなど、愛の営みを象徴する事物が並んでいます。

・どっちなの~?快楽主義~?原罪~?それは見る人が決めることって~~~?!(笑)

・18世紀のフランスでは現実世界に生きる人間たちの愛が盛んに描かれるようになり、情熱と欲望に駆られた人をテーマにしました。

 

「エロティックな愛」

★フランソワ・プーシェ《褐色の髪のオダリスク》1745年

・誘惑するようなまなざしで振り返っています。

・トルコ風のソファー、ここはハーレム?

・彼女のふくよかなお尻

・挑発的なエロティシズム

・18世紀、イスラム世界のハーレムに抱いた幻想を下敷きにしているそうです。   

 

第4章「19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇」から

「同性愛?」

★クロード=マリー・デュビュッフ《アポロンとキュパリッソス》(1821)

アポロンと美少年キュパリッソスの愛の神話をテーマ。

・可愛がっていた牡鹿をうっかり殺してしまい、悲嘆に暮れるキュパリッソスの頭をアポロンが優しく支えるシーンが描かれています。

・この物語は19世紀フランスの新古典主義で取り上げられました。

 

「ピュア―な愛」

★フランソワ・ジェラール《アモル とプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》(1798)

ローマ神話の愛の場面を描いたもの。

・若く美しい愛の神アモルは人間であるアテネの王女プシュケの美しさに心を奪われました。

・二人の恋は神の愛と人間の魂が試練を経て幸せを得るという物語です。

・初々しい青春そのもの。

・陶器のようなきれいな肌。

・蝶はギリシア語でプシュケ、魂の化身とみなされています。「愛(アモル)が魂(プシュケ)に触れた」ことの暗喩(メタファー)。

・2人は結ばれますが、美貌で知られる王女プシュケは、そのたぐいまれな美しさに嫉妬する義母ヴィーナスから様々な意地悪をされ、それを乗り越えてハッピーエンドを迎えます。

・嫁と姑の関係は元祖嫁姑問題?!

今回は美しい絵のオンパレード!しばし時代を超えて時のたつのも忘れてうっとりと魅入りました。