江戸時代の修行僧・円空(1632~1695)が彫った表情豊かな「円空仏」が約160体大集合しました。
さすが10周年記念、力のこもった展覧会です。
素朴でダイナミックな円空仏!
円空が彫った神仏は、ほほえみや怒りの形相など、実に表情豊かです。
この円空独自のスタイルに惹かれる人たちは多いことでしょう。
今回の展覧会では今まで見たことがないような大きな神仏像にお目にかかることが出来、圧倒されました。また修行を重ねていくうちに、すべすべとした作風からごつごつとした作風へ変化していくさまもたどれました。
さて 円空は修験者として東海3県(岐阜県・愛知県・三重県)を中心に、北海道から近畿地方まで行脚したことはご存じでしょうか?
円空は各地で天災や病などに苦しむ庶民のために神仏を彫り続け、祈りを捧げたのです。
また円空は奈良時代の名僧・行基を尊敬し、重い税や労役、疫病に苦しむ庶民に手を差し伸べました。
「円空さん」と親しまれている生涯や活動を、彫刻のほか、絵画や文書など貴重な資料を通して知ることができました。
第4章「祈りの森」だけ写真撮影OKでした。
この章は「円空仏の寺」として有名な岐阜県・千光寺に伝わるお像が並んでいます。
千光寺は約5400体現存する「円空仏」のうち、64体を所蔵しています。
★両面宿儺(すくな)坐像 1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
『日本書紀』仁徳天皇六十五条には、両面宿儺はひとつの胴体に2つの顔がある天皇の逆賊として記され、一方で地元の飛騨や美濃では、龍や悪鬼を倒した英雄として伝承が残っています。
しかし、円空は通常の両面宿儺と違い、正面を向いて斧を持った武人の背後にもう一人の武人を負いかぶせるように表現しています。
★「観音三十三応現身立像」1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
岐阜県指定文化財村人が病気になったときは、借り出して平癒を祈り、治ると返したという伝承が残っています。
やさしい微笑みをたたえていますね。
31体現存する同形の菩薩像「観音三十三応現身立像」には、「円空さんにすがる信仰」が表れているとか。
★金剛力士立像(吽型)1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
像高2メートル以上ありそう。こんなに大きいのは初めて見ました。
牙が生えている~!
★不動明王像及び二童子立像 1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
一材を二つに割り、木の表面側から不動明王像を造り、残りの材をさらに半分に割ってそれぞれの木の芯側から二童子像を造る。
★弁財天坐像及び二童子立像 1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
弁財天は頭上に宇賀神を戴く。二童子像は背面墨書から千光寺に隣接する下保白山神社に伝わった像。このふくよかなお顔!
★十一面観音菩薩立像及び両脇侍立像 1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
下保白山神社に伝わった三尊像。
とがったくちばしを持つ。迦楼羅(カルラ)とも呼ばれる。
★御法神立像 1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
1本の木を四つに割り、木裏を前面にして作る。
★賓頭盧尊者坐像(びんずるそんじゃ坐像)1685年(貞享2年)頃 岐阜県・千光寺蔵
円空が自身の姿を彫ったと伝わるが、表面が永年撫でられたような艶があり「撫で仏」賓頭盧尊者の像であろう。(すべてキャプションより)