高知県外での展覧会は、なんと半世紀ぶり。
ずっと待ち続けた「謎の絵師・絵金」にやっと出会えました。
うれしいことに指定フロアーは写真・動画撮影もOKです。
展示風景
「血みどろ絵」、「血赤」って耳にしたことありませんか~?
芝居の中の殺しの現場などをテーマに、画中に血液、血痕などを色鮮やかに描いた絵のことです。
また闇の中、蝋燭の灯りで浮かび上がらせるおどろおどろしい絵!
祭礼の夜を彩る強烈な赤「血赤」は邪気を払う魔除けの色として庶民に受け入れられたそうです。
けれども絵金は実際には血みどろ絵は少ししか描いていません。
芝居絵や物語絵が多かったです。
そんな絵を描いた絵師がいます。
まずはご覧あれ~~~!
絵金の芝居絵屏風より
★《伊達競阿国戯場 累》(だてくらべおくにたわむれのば るい)(部分)二曲一隻屏風 香南市赤岡町本町二区 高知県指定文化財 恐ろしいほど美しい!?
太閤ではありません。太功ともじっています。
★《花上野誉石碑 志度寺》(はなのうえののほまれのいしぶみ しどうじ)二曲一隻屏風 香南市赤岡町本町一区 高知県指定文化財
同時代のどの絵師とも違う絵金の屏風絵は、現在も夏祭りの数日間、高知各所の神社等で飾られています。(リーフレットより)
闇の中に蝋燭の灯りで浮かび上がるおどろおどろしい芝居の場面は、見物人をギョっとさせることでしょう。
展覧会会場ではとても丁寧に灯を点滅させ、昼と夜の場面の変化を見せてくださっています。ほんと、興味津々でした。
★向かって右《蝶花形名歌島台 小坂部館》(ちょうはながためいかのしまだい おさかべやかた) 左《敵討優曇華亀山》(かたきうちうきぎのかめやま)
ライトが当たっている方(下)が夜の見え方です。
ところで「絵金」(1812~1876)ってどんな人~?
土佐の高知のはりやま橋近くで生まれた謎の絵師。
金蔵こと絵金は、幕末から明治初期に大活躍した絵師です。
金蔵は弱冠20歳で土佐藩家老・桐間家の御用絵師になるほどの天才!
33歳の頃、古物商の依頼で、狩野探幽の模写。ところがその絵に探幽の落款印章を施され売りに出されてしまった。(藩の記録には残っておらず真相は謎)
偽絵を描いたとがで御用絵師解任、城下を追放された。
赤岡(現在の香南市)の叔母を頼って移住。
町絵師となる。
町の旦那衆の求めに応じ「芝居屏風」などたくさんの作品を残しました。
絵金が描いたのは祭礼の絵ばかりではありません。
★《土佐年中風俗絵巻》巻子 個人蔵(高知県立美術館寄託)
絵金は基本的にはサインを入れていません。が、こっそり「隠し落款」を入れています。骨董品屋の幟に絵金の画号「友竹」の隠し落款が!
ユーモアたっぷり絵金の作品
★《花衣いろは縁起 鷲》二曲一隻屏風 香南市赤岡町本町二区 高知県指定文化財
子どもが鷲にさらわれる一大事のさなか、その後ろにあんぐりと口を開けて見上げる農村の人々。抱かれる子どもが「逆さま」じゃー!(左下)
源義経が平家討伐を果たすが、兄・頼朝に追われて西国に落ち延びる場面。
白抜きの人物は平家一族の亡霊。手前は平知盛の亡霊。
あまりの揺れに船酔いをする船頭が描かれているのは絵金らしいおふざけ?(向かって左)
そのほかにも絵馬提灯、幟、掛け軸など大活躍で、弟子もたくさん育てたそうです。
高知では「エキンさん」は絵師を意味する一般名詞になるほどですって。(リーフレットより)