大阪・中之島美術館「モネ連作の情景」展に行ってきました~(^^♪

1874年に第1回印象派展が開催されてから150年の節目を迎えることを記念して開かれた展覧会です。全作品がモネのものだけと言う珍しい展覧会。

 

クロード・モネ(1840~1926年)の代名詞と言えば「連作」ですよね。

特に「睡蓮」は有名です。今回はさらに「積みわら」、「橋」などをモティーフとした作品がありました。

 

モネはこれまでだれもやっていなかった「連作」と言う珍しい表現手法を取り入れました。

連作が始まるのは、1883年春、42歳の時、セーヌ川流域のジヴェルニーに移り住んだころからです。

連作 

1:スイレン

1890年代後半からは300点もの「睡蓮」に取り組みました。最初は風景として描かれていた睡蓮は、だんだん視線が水面に集中していき、絵の主題がもはや睡蓮の花ではなく、植物と太陽の光が作り出す世界になっていきました。

★「睡蓮」1897-98年頃 ロサンゼルス・カウンティ美術館(チラシより) 

蓮の花を拡大すると・・・筆触が大きいのが分かりますね。

 

「睡蓮の池」1918年頃 ハッソ・プラットナー・コレクション蔵

視覚障害白内障)に悩まされるようになった1908年頃からは、筆致はより粗く、対象の輪郭は曖昧になり、色と光の抽象的なハーモニーが画面を占めるようになりました。

★「睡蓮の池」1907年 石橋財団アーティゾン美術館 ※大阪展のみ

第5章「睡蓮の部屋」では大阪会場でだけ展示される5点を含む睡蓮や藤の作品を見ることが出来ました。(この部屋は写真撮影OK)

 

2:積みわら

連作最初のモチーフは積わらです。農夫にお金を払ってまでフランスの豊かさの象徴だった積わらを描きました。

★「ジベルニーの積みわら」1884年ポーラ美術館蔵

★「積みわら、雪の効果」1891年スコットランド・ナショナル・ギャラリー 蔵

これは「積みわら」の15点の連作のうちの1点です。

ジヴェルニーの自宅近くで目にする秋の風物詩「積みわら」。それらが光を受けて刻々と変化していく様子を、モネは複数のカンヴァスを並べて同時進行で描きました。

 

3:ウォータールー橋 

ロンドンのテムズ川に架かる大きな橋

1899年からはロンドンを訪れ、「チャリング・クロス橋」や「ウォータールー橋」などの連作を数年かけて描きました。

曇り、夕暮、日没の連作を比べてみると・・・・・

★「ウォータールー橋、ロンドン 曇り」1900年ヒュー・レイン・ギャラリー 蔵

遠くの空はピンク色。だんだんあたりが暗くなり始めて・・・

光の描写は全体に淡くて、遠い空は綺麗なピンク色。

★「ウォータールー橋、ロンドン 夕暮」1904年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

夕暮時、あたりがだんだん暗くなって・・・

光がうっすらと、ぼんやりとしてきました。

★「ウォータールー橋、ロンドン 日没」1904年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

ピンク色の夕日にそまってきた・・・

光が温かくやわらかに・・だんだん闇に包まれていく。

確かに同じ風景でもお天気や時間が違えば変わって見えますね。

こうして並べてみると時間の経過が読み取れます。

★「チャリング・クロス橋、テムズ川1903年リヨン美術館蔵(大阪展限定)

 

 

日本初公開となる人物画の大作「昼食」(1868-69年)、オランダで描いた風景画《ルーヴル河岸》(1867年頃)など、モネが印象派となる前の作品も見ることが出来ました。「昼食」1868-69年 油彩、カンヴァス 231.5×151.5cm シュテーデル美術館(日本初来日)

 

また連作以外にも素晴らしい風景画を見ることが出来ました。

★「ラ・マンヌポルト(エトルタ)」1883年 メトロポリタン美術館

フランス北部のノルマンディー地方、エトルタの奇岩ラ・マンヌポルトは数年を置いて描きました。

★「ヴェンティミーリアの眺め」1884年ケルヴィングローヴ美術館・博物館

移ろいゆく時間や光とのたゆまぬ対話を続けた画家の生涯をざっとたどってみました。

モネは「水の画家」と言われるように水のある美しい風景画ですね。私の一押し!

やはりモネは人気絶大!ものすごい混みようでした。

大阪展45万2943人が来場。個別の展覧会として同館の最多動員記録を更新。
東京展と合わせると延べ計91万7072人だそうです。