描いても描いても愛しい麗子~「岸田劉生展」に行って来ました~(^^♪

三寒四温の季節、少し体調を崩しがちな候ですね。

幸い新型コロナウイルスが猛威を振るう前、没後90年記念 岸田劉生展に出かけることが出来ました。
岸田劉生(1891-1929)は38歳で早逝してしまった洋画家です。劉生の名前は聞いたことが無くても、愛娘を描いた「麗子像」は教科書などでご覧になったことはあるのではないでしょうか~?
日本一有名なあの薄気味悪い少女「麗子像」、怖い!
私はルーブル美術館の至宝と言われる「モナリザ」を見た時、謎の微笑みが気味悪くて・・。「麗子像」にも同じような怖さを感じていました。

ところが今回の展覧会では・・・
しりあがり寿さんのイラストが面白くて、可愛らしくて心をギュツと掴まれてしまい(爆)出かけることにしました。

彼のなんと愛らしいイラスト!
例えばこんな風~!(展覧会ちらしより)

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劉生はヨーロッパの古典絵画や後期印象派などに影響を受けながら、独自の写実絵画を追究しました。
ドイツの巨匠デューラーなどに感化された時代の執拗なまでの描き込みや、肌のしわやホクロまで描写されている肖像画から、《路傍秋晴》1929年11月(吉野石膏株式会社蔵)、《代々木付近(代々木付近の赤土風景)》などをはじめとする風景画、林檎一つ一つの形や模様が描き分けられた静物画まで。(解説より)

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私もその精緻さには目をみはりましたが・・・
その中でも劉生いわく「描いても描いても愛しい」という麗子像に注目してみました。

 

「麗子六歳之像」1919年3月7日 東京国立近代美術館

とっても可愛らしい女の子。

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重要文化財《麗子微笑》大正10年10月15日
この作品は麗子8歳。
大正6年、劉生は結核を患い湘南海岸に転地したころから娘をモデルにしました。
最初の頃の麗子像は写実的でかわいい子供でしたが、大正8年8月23日「麗子座像」(ポーラ美術館蔵)のころから「内なる美」を追求し始め少しずつ薄気味悪くなってきました。
レオナルド・ダ・ヴィンチモナ・リザ》にヒントを得て描いたそうです。どうりで~。
顔を横に引き伸ばしデフォルメ。そのせいか神秘性は確かにありますね。
青いミカンを持つ手は異様に細い。けれども肩掛けは絵の具の盛り上げがあり、丁寧に描かれ写実的でした。

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名古屋限定展示作品2点。この2点は初めて見る作品でした。
《二人麗子図》(童女飾髪図)大正11年3月21日 泉屋博古館
麗子9歳ころ
モデル二人のしぐさは超現実的構図で「東洋の美」への転換となる頃の作品。
桃の節句の季節、それにふさわしい着物の生地の質感が見事です。
「足が痛くて」と我慢している小さな子供のつぶやきが聞こえてきそうですね。

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童女舞姿》大正13年3月7日 大原美術館
麗子11歳ころ
鹿子絞りの美しい着物。緻密に描かれた細かな柄。重厚な質感。
切れ長の目をした冷たい不気味な表情の麗子ちゃん。
劉生は32歳の時、関東大震災で家が半壊したため、京都南禅寺に移住して間もないころの作品です。麗子のモデル人形を作り、それに着物を着せて制作に工夫を凝らしたそうです。
肉筆浮世絵の屏風に女性が舞うポーズがあり、参考にしたとのことです。

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この頃から東洋の美に心酔。この気味悪い表情は、初期肉筆浮世絵に見られ、劉生の名付けるところの※「でろり」という言葉で表した独特の美です。
※初期肉筆浮世絵の「でろり」とした東洋の美。「でろり」とは、グロテスクで気味悪いほど生き物の感じを持った東洋の美のことだそうです。(解説より)

麗子像は生まれて間もない頃から15歳頃まで50点以上描かれました。
本物の麗子さんは細面の鼻筋の通った凛とした美人だそうです。
劉生を支えた麗子さんとその家族の存在はどんなにか大きかったかがわかる展覧会でした。
また劉生の特筆すべきことは、ほとんどの作品に制作年月日を書き込んでいることでしょうか。

おまけ

グッズが面白くて~。

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食わず嫌いの所があったのかもしれません。思ったより楽しめた展覧会でした。