三重県の重要文化財に指定されている仏像は、全国第9位とのことです。
かつて都があった奈良、京都から比較的近い距離だったため、多くの素晴らしい仏像があるのでしょう。
でも今回の目玉は何と言っても三重県松阪市安楽寺の快慶作「阿弥陀如来立像」と「地蔵菩薩立像」でしょう。
安楽寺の木造阿弥陀如来立像は長い間厨子に納められたまま開扉されることなく知られることがありませんでした。
平成21年に見出され、現在に至る長年の調査により快慶作と断定、この博物館で初公開となりました。800年の時を超えてよみがえりました。
第5章鎌倉時代から
快慶作 阿弥陀如来立像
像高 78.2cm
一木割矧ぎ造り
玉眼
漆箔
鎌倉時代(1227年以前)
足枘に半分消えかかった墨書があり、残された箇所が他の快慶作の筆跡によく似ている「巧匠 法眼快慶」と読めること、また作風が快慶の安阿弥様であることなどから確定されました。さらにCT調査により構造や像内の納入品の確認など新しい情報が見出されました。
一目見て、素人の私でさえ快慶の残した数多くの三尺(1m弱)阿弥陀仏の一つと思える、端正で優美な仏像だと思ったものです。小さくても繊細な表情に惹かれてしまいます。
快慶かその周辺の人物、工房作か 「地蔵菩薩立像」
像高 52cm
一木割矧ぎ造り
玉眼
彩色
鎌倉時代(13世紀)
無銘記なこと、お顔の表現が他の快慶作品と若干違っています。しかし耳の造りや着衣の形式、文様などが快慶作品に似ていること、快慶作の場合と同様に像内に納入品が確認されていることから快慶作品ではないかと考えられています。
第1章白鳳・奈良時代から
像高 25.5cm
銅造
何とも愛らしい仏様。胴体に比べて頭が大きい~。螺髪は珍しい賽の目状。お顔は明るく微笑んでいるようです。素朴な感じに惹かれました。
17年ごとに一度御開帳の秘仏です。
次にチラシを飾った三重県多気町普賢寺「普賢菩薩座像」が気になりました~。
第2章平安時代前期から
像高 47.2cm
一木造
素地
クス材
平安時代前期(9世紀ころ)
肉付きが豊かで奥行きがあるお姿は、平安初期の一木造の特色が表れていると思いました。
ハッとするほど厳かで重厚な感じがしました。
鼻が高く、まなじりを少し吊り上げ、口元を引き締めているからでしょうか。
普賢菩薩と言えば、一般的には象に乗っていますね。でもこのお像はそれ以前の古いスタイルなのだそうです。
第6章南北朝時代以降から
像高 85.4cm
寄木造
古色
玉眼
ヒノキ材
亡くなった子供を供養するために内部に、最古とみられる江戸時代の色鮮やかな「近世初期上方子供絵本」10冊が納められています。
衣の全面に蓮華唐草文、龍文、雷文繋ぎなどの盛り上げ文様が丁寧に施されています。
像高 25cm
一木造
古色
江戸時代
近年、円空の最初期の作品が発見されました。中山寺は円空作品が伝来していることで有名で、新たに確認されたお像です。
今は失われてしまいましたが、右手には剣を持っていたでしょう。左手には巻子を持っています。文殊菩薩のお約束、獅子に乗っています~。
その他の三重の仏像はほとんど都風(定朝様)の優しくて穏やかなお顔の仏像が多く、都に近い伊賀地方、伊勢地域の海岸沿いの富裕な漁師たちが守って来たお寺に所蔵されています。