「ボテロ展ふくよかな魔法」 名古屋市美術館 9月25日まで

南米コロンビア出身、フェルナンド・ボテロ(1932~)

「南米のピカソ」と呼ばれています。

 

90歳の現役の画家!

あらゆるものをふくよかに表現する作品は「ボテロの魔法」のなせる業!

何はともあれまずは作品をご覧あれ~~~!

 

私の一押しから~

★《バーレッスン中のバレリーナ》2001年

ド迫力のバレリーナ

見事な足上げ!180度?

ゆるぎなく立っていられるなんて~

力士の股割のように訓練したのかしら~?

わき毛もきちんと描いています。

頭のバラのお花が可愛らしいでしょ?!(笑)

そしてボテロの描く、あえての無表情。ボテロは人を描くときでも、静物画と同じ色と形を持つ形体として描いています。。

このユーモアが可笑しくって笑い上戸の私、楽しい絵に惹かれてずっと笑っていました。

ボテロの絵は様々な思いや仕掛けが隠されています。

 

★《コロンビアの聖母》1992年

聖母マリアが抱いているのは、幼な児イエス・キリスト

手に持っているのは「コロンビアの国旗」

涙するコロンビアの聖母

ボテロのメッセージが隠されています。

当時の社会情勢は、新聞にも書かれていましたのでご記憶でしょうか。

1940年代~ずっと暴力の時代、左翼ゲリラの内戦、麻薬戦争(メデジン・カルテル)、政府の汚職等続いています。

南米はマリア信仰の強い国です。大粒の涙の原因は祖国を思ってのことですね。

 

★世界初公開《モナ・リザの横顔》2020年

 

名画「バージョンズ」シリーズの中から

古典的名作《モナ・リザ》をモティーフにしています。

ボテロの手にかかるとモナ・リザも・・・(笑)

ボテロは西洋美術史を学び、その技術を踏まえて独自のスタイルを作っています。

また自分のルーツである「古代メキシコ・オルメカ文明」の巨石彫刻と庶民の暮らしにも倣ったスタイル。

でもやっぱり「ボテリズム」と呼ばれるぽっちゃり。ふくよかな魔法です。

ボテロさんは「ぽっちゃりから何か、匂ってくるものを感じ取ってほしい」と言っています。

例えば・・・「堂々」、「おおらか」、「豊満」、「癒される」など見る人に様々な印象を与えてくれるのではないでしょうか。

 

その他の作品

★《楽器》1998年

物でさえも「ぽっちゃり」

この作品から「ぽっちゃり」が誕生しました。

ボテロ24歳の時「マンドリンの丸い穴をあえて小さくしたところ、マンドリンが爆発したように見えた。その時、何か大事なことが起こったと感じたんだ」と言っています。

 

★《洋梨》1976年

高さ2m41cmの大画面に描かれた洋梨

よく見ると左下に虫食いの虫。その虫に目鼻が付いている。

右上にはかじった跡が・・・

西洋絵画様式、ヴァニタス(生きているものは、すべていつかは朽ちる)を表しています。

とにかくでっかい。会場で見ると迫力が半端ない。

 

★《守護天使》2015年

寝ているのはボテロさん。飛んでいるのは迫力のある天使。

羽に空気が入っている?

神々しい天使と裸電球、電気のスイッチ。庶民的なものとの対比が面白い。

作品のお写真は平日の指定された日に自由に撮ってOKでした。

 

ボテロの言葉

「ふくらみの持つ形の豊かさは観る者を突き動かすような官能を伝える」

ユーモアやアイロニーなどは見ている人に様々な印象を与え、生きる喜びを湧きあがらせてくれる~。(チラシより)

この展覧会はこの後京都市京セラ美術館に巡回します。